ユーザーを知ることの大切さ
UXという言葉をよく聞くようになり、UXのカンファレンスなどにも行って、これまではあまり感じていなかったことがとても大切だと感じるようになりました。
それは実際のユーザーを知ることです。
クライアント様でも制作側でも「ユーザーのことは想像できる」「このサイトのユーザーはこうであるはず」「自分の情報に興味がある人はわかる」「私がもしユーザーだったらと想定して」と思って制作をスタートすることが多いのですが、「わかっているつもり」で制作をスタートするのではなく、ユーザーを知るためのアプローチができるのであれば取り入れるべきだと学びました。
ミツエーリンクスさんのサイトでは「ユーザーを知る」について下記のように書かれています。
「ユーザーに対して憶測を立てることは大変危険なことで、実際にユーザーに会い、ユーザーに関するデータを収集し、ユーザーテストをおこなうことが非常に大切です。それによって、ユーザーの独自性、目的、要求事項といったことを初めて理解することができるのです。」
UXデザインという考え方を知る中で、私は「ユーザーのことはわかる」とは思わなくなりました。逆に「ユーザーのことはわからない」というところをスタートに考えるようになりました。
先ほどのミツエーリンクスさんの文章の前には「「ユーザーを知る」(Know Thy User.)というのは、ユーザビリティのスペシャリストであれば誰もが理解している概念」とあります。
実際のユーザーを知るアプローチがないとユーザーのことはわからないということをお客様に伝えると、「プロなのにわからないの?調べればそのターゲットに関する情報は出ているんじゃないの?」と言われたことがあります。
私は「プロだからこそユーザーのことを実際にはわかっていないということを知っている」と思っています。想像はいくらでもできますが、憶測で考えるユーザー像と実際のユーザーにはズレがあることを理解しています。プロでも実際のユーザーと自分を完全に重ね合わせることはできないのです。
参考:【UXの迷信】専門家がUIをレビューすればユーザーテストなんて必要ない?
私自身これまで18年ほどWeb制作に関わってきて様々なクライアント様、制作チームとご一緒してきましたが、ユーザーを知るために時間をとった案件はどれだけあったでしょうか。実際にはあまりありません。
サイトを使うのはユーザーなのに、憶測の中のユーザーに向けてサイトを作ってきたのです。
Lean UXでは「Get out of the building(ビルの外に出る)」が重要だとされています。オフィスでUXを考えるよりも、外に出て顧客に会うのです。
フリーランスのWebデザイナーがUXデザインとしてできることは限られているかもしれません。予算も制作会社さんの案件に比べると少なく、発注者様も大手企業様と違いWebのことをよく知らないことも多く、ユーザーを知ることの大切さを共有するのも難しいかもしれません。
それでもせっかく今Webサイトをより良くするアプローチとしてUXデザインというものが登場し、技術や知識もたくさん出てきているので、予算・時間的制約・リサーチ環境の構築など制約はありますができる範囲のものから取り入れてさらによいWebをクライアント様に提供できればと思っています。